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3.技術的特徴 |
3−1 緩速ろ過の閉塞対策 |
閉塞を起こさない条件を付加するならば、緩速ろ過はコスト、浄水能力何れにおいても最も優れた方法になる。私と 株式会社開発興業
はこれらの長所を生かし、より実用化できるようにする研究開発を進めてきた。今その結果、を以下に示す。 |
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@ ろ過池の覆蓋 |
覆蓋によって藻類の繁殖が無くなり、藻類による閉塞を止めることが出来る。緩速ろ過では基本的には覆蓋は行わない。その理由は太陽光の基で藻類を繁殖させ、多量の酸素を発生させることにあるとされている。しかしながら、藻類の繁殖はある意味では、分解に酸素を必要とする有機物を作っていることになり、かえって水を悪化させているのである。勿論藻類やそれから流れ出す諸々の有機物は、最終的には緩速ろ過によって分解されるといわれている。そうであるならば、生成した酸素はその分解に全て使われることになる。この藻類を排出するならば確かに酸素の余剰が出てくる。しかしながら速やかに藻類を流出させることが出来るかどうか技術的問題を抱えているものと考えられる。
本法は原則として逆洗付細砂ろ過池と細砂緩速ろ過池の何れも覆蓋する。場合によっては前者の覆蓋は省くことが出来る。この覆蓋によって藻類の繁殖は行われず、トリハロメタンを高くするような成分の増加も阻止することが出来る。 |
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A 逆洗付細砂ろ過(前処理システム)の意味 |
○ 凝集剤を利用しない |
閉塞するのであれば、前段でろ過し、閉塞の時には逆洗すればよい。逆洗装置付きろ過は既に急速ろ過で一般的に利用されている技術である。問題は凝集剤を使わないで濾過することである。そこで細砂を使うことでこれを解決した |
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○ 物理ろ過と生物ろ過でクリプトを除去 |
砂の粒径は0.1〜0.3mmと小さいく、5ミクロンのクリプトスポリジウムも大半を物理濾過できる。細砂であるから逆洗時の砂同士の衝突の衝撃は小さい。そのためバクテリアが繁殖しており、物理ろ過以外に生物ろ過を行っている。結局クリプトはこの逆洗で除去できることになる。 |
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○ 沢水を始めて可能にした |
このシステムは、閉塞時の砂の掻き取りを、逆洗で置き換えたことになる。当然自動化したものであるから無人である。この自動化は従来濁質が多くて利用できなかった沢水に対しても対応できるものである。沢水は夕立があれば濁水となり、無機濁質のみならず細かい腐葉などが多量に含まれている。従来の緩速ろ過はこれに対応できなかった。あちこちの山奥で緩速ろ過設備がうち捨てられているのである。勿論急速ろ過は対応できない。膜ろ過も対応できないのである。 |
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3−2 ろ過砂に細砂の使用 |
緩速ろ過では、ろ過砂は0.3mm以上で0.6mm程度の大きさのものを利用することになっている。しかし、これでは単なる濁水では濾過不十分になる。ある程度有機物が含まれていて、バクテリアが繁殖し、ろ過膜を生成することで、濁質も除去させるのが従来の緩速ろ過である。
しかし、沢水や地下水などでは有機成分が少ないことが多々あり、スライムが完全には生成せず、濁質が除去できないことがある。こうなると浄化が不十分になる。そこで0.3mm以下の砂を利用することにした。この細砂は従来含まれてはならないと決められていたものである。禁止されていた細砂、この中に大きな可能性が詰まっていた。同じように逆洗付細砂ろ過も細砂を利用するが、緩速ろ過ではろ過速度が極めて小さい。また逆洗しない。そのため、逆洗付き細砂ろ過以上に、物理ろ過を行い、スライム(ろ過膜)が発達し、生物ろ過を行うのである。勿論細砂を単に採用するのでは、ほとんどの場合閉塞をきたしてしまう。そこで逆洗付き細砂ろ過を前処理として組み合わせることによって、この細砂を緩速ろ過に使えることになった。 |
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3−3 きれいな地下水は細砂緩速ろ過単独 |
勿論、濁質や有機物がほとんどない地下水の場合、細砂緩速ろ過のみで良い。
このシステムは、直送方式の安全対策、保険として有用である。直送方式で井戸水を一度細砂緩速ろ過して直ちに消毒後送水するのである。元々濁質がないから、ろ床が閉塞することが無く、かつクリプトスポリジウムの心配も無くなる。
特に重要なことはろ過だけでなく高度浄水となることである。浄水設備というからには原水を浄水しなければ意味がない。安全で、美味しい水をさらに安全で美味しい水としなければならない。 |
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